就職や入学でネクタイの購入が増える時期だが、市場は縮小傾向にある。クールビズの浸透と、コロナ後のリモートワークの定着で、「脱ネクタイ」の流れが加速。消費の現場では「こだわりの1本」へのニーズが高まっている。
東京・銀座の大手百貨店「松屋銀座」の仕入れ担当者は「ネクタイの売り上げは縮小の一途をたどっている」と話す。売り場面積は2023年のリニューアルで狭くなった。かつてはスーツにあわせて着用する「必需品」だったが、近年は「嗜好(しこう)品」へと消費者の意識が変化しているという。
東京・新宿の大手百貨店「伊勢丹新宿店メンズ館」も、1階のフロアの中心部に陣取っていた売り場が、22年から5階に移設され、売り場も狭くなった。元のネクタイ売り場はいま、香水やスキンケア用品など男性用コスメ売り場となった。三越伊勢丹の担当者は「リモートからリアルへの揺り戻しがあるが、服装は戻っていない」と話す。
東京ネクタイ協同組合の推計…